彼女には合わない仕事

3/3
前へ
/3ページ
次へ
男は右手で首の裏を掻きながら告げる。 「……何で『雷様』に就こうとしている人物が雷、苦手なの?」 そう言われた女は漸く顔を上げた。 女は恐怖にひきつった顔で、溢れんばかりに ── 否、実際には駄々漏れだ、涙を流し、潤んだ瞳、で男を見つめた。 「……だってぇ~、仕方ないじゃないですか!こ、怖いものは怖いんですよぉ~。」 それを聞き、男は呆れて一つ溜息をついた。 「ハァ、……キミ、曲がりなりにも『雷娘』でしょ?雷娘が雷怖がってどうすんのさ?」 そして男は心の中でこう思う。 ─── 彼女には合わない仕事だ。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加