第1章

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パヒューム・パラレリズム         神空寿海  晴れて女子高生になって、バイト出来るようになって、趣味の調香用オイルを買いあさって、調香し始めたのよ。  最初はお気に入りオリジナル香水を完成させる予定だったのが、妙な欲に駆られ、禁断のフェロモン系媚薬に目的が移行してしまい、憧れのイケメン君を自分に振り向かせるべく、 バイト料を注ぎ込んで、寝る間も惜しんで、勤しんで、それなりの物が完成しそうだった。  の、ハズだったのよ。 出来上がった香水を自分に付けたり、ちょいと男子の制服に擦り付けてみたり、試作テストを繰り返して、男の子の反応がちょっとづつ変わって来て、いよいよと思った処で、毎夜の徹夜が祟ってか、香水瓶を数本、倒してしまった。 ショックのせいか、立ち込める匂いのせいか、目眩を起こし、気を失った。  目覚ましに起こされて、何が起こったのか良く覚えていないまま、前の晩完成させた香水の小瓶は、時間が無かったから、体に付けずに、取りあえずカバンにいれて、慌てて学校へ向かった。  休み時間、こっそり香水の瓶を開けた。  小瓶から煙幕の様に煙が上がり、今までに嗅いだ事の無い、凄まじく魅惑的な香りが、教室中に広がると、生徒達が騒ぎ出した。  ヤバイ。  クラス全員による告白タイムが始まった。  媚薬は大成功と喜んでいる場合では無い、私は日頃から嗅いでいたせいか、免疫が出来ているらしく、冷静で居られる。  男子から女子へ、男子から男子へ、女子から女子へ、とんでもない事になってきた。  ひえー、あいつはあの子が好きで、あの子はあいつが好きだったのか。  あれー、あいつはあいつのリアルBLじゃないか、こりゃいい物見れた。  あ、先生が入ってきたら、数人の女子と男子まで駆け寄ったが、びっくりした先生の目が、トロンとすると、教室を駆け出て行った。  面白がっている場合では無い、換気をして臭気を薄め様と、急いで教室のドアと窓を開けた。  ら。  学校中で告白タイムが始まってしまった。  ああっ、憧れていた、体育の先生が、男子を口説いてるっ。飛び出していった担任は保健の美人先生にへばりついてる。  何とか収集を付け様と、違う香水の空気混合で別物香水にならないか、カバンのもう一つの小瓶を開けてみた。  きゃー。
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