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「やっぱり! おねえちゃんもミサの前からいなくなっちゃうんだ! おとうさんも、おかあさんも、レオも!!」
「……ミサちゃん、どうしてみんないなくなっちゃったと思ったの?」
恵理子が事情を尋ねると、ミサは俯きながらも、事情を話し始めた。
… … …
ミサの家族は、どうやら友介先輩の言っていた大金持ちの一家で間違い無いらしい。そしてミサは、その一家の一人娘だった。一家の仲が悪かったわけでは無かったのだが、ある日ミサが父親の言いつけを守らなかったことから、父親はミサに手をあげてしまった。
その日のことである、飼っていたレオが、父親に手をあげたのは。
そしてその夜、レオは召使いの手によって殺されてしまった。
ミサは父親から、レオは寿命で死んでしまったと言われたが、レオの死以来、ミサはストレスによって体を悪くしていき、レオを追いかけるように幼くして亡くなってしまった。
あまりに早い期間の一人と一匹の死に、召使いは恐れて屋敷を離れてしまった。それに伴い、両親もこの屋敷から離れてしまった。
これが、ミサの知り得る本当の大金持ち一家の姿であった。
… … …
「ミサ、召使いさんが話してるの聞いた。だから、悪いのは全部ミサなの」
「そんなことないよ。だってきっと、レオはミサを守ろうとしてくれたんだもの」
「でも、レオは先にいなくなっちゃった。この屋敷、ずっとミサ一人ぼっちなんだよ!」
「ミサちゃん……」
あまりにも悲観的な彼女だが、言い返す言葉が見つからない。恵理子が肩を落としていると、そこへ友介先輩がやって来た。
「恵理子ちゃん、さっきの部屋、鍵が無いと……ってあれ!? 幽霊!!」
空気を壊すかのような笑顔でミサに近づき、そして手を握る友介先輩。その楽観的な様子に、思わず恵理子は安堵してしまう。初めは疑いの目で見ていたミサも、屈託のない笑顔を見せる友介先輩に、心を許して笑顔になった。
「この子は?」
「友介先輩、実はですね……」
恵理子は、ミサの事情を友介先輩に話した。
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