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「成程ね、それで少女の泣き声と獣のうめき声のつじつまがあったよ」
「あ、そうだよミサちゃん。レオのうめき声が聞こえるんでしょう? ミサちゃん一人じゃ無いんじゃないの?」
ミサちゃんに恵理子が尋ねる。するとミサはふるふると首をふった。
「聞こえたことはあるけど、最近は聞いてないし、レオに会ったことは一度も無いよ。色んな部屋を行ってみたけど、どこにもいなかったもん」
「あ、あそこは? あの鍵付いてる部屋」
「あそこは行ったことない。お父さんの部屋で、何時も入っちゃ駄目って言われてたから。でも……声はあっちのほうからしたかもしれない」
「じゃあきっとそこだよ! ミサちゃん、鍵がどこにあるか知ってる?」
「うん! 案内したげる」
ミサはそう言うと、先程の泣き顔とは対照的に屈託のない笑顔で歩き出した。これには、恵美子と友介先輩も顔を見合わせて微笑んだ。
… … …
鍵を友介先輩が持ち、開かずの扉の解錠をした。扉を開くと、そこには青白く光る、ライオンの幽霊がいた。
「レオ!!」
ミサはレオの下へ急いで向かい、レオを抱きしめた。レオもミサを見つけると、嬉しそうにか弱く鳴く。
「此処にずっといたってことは、レオはきっと地縛霊で動けなかったんだろうな」
「良かったねミサちゃ……」
恵理子がミサに言いかけたが、途中で言葉が止まってしまった。
レオとミサが、青白い光の粒となって、どんどんと消えていくからだ。
「おねえちゃん、おにいちゃん、有難う! 私、レオと会うことが出来たよ。これでやっと、もう一人ぼっちじゃない……それじゃあね」
「ミサちゃん!!」
恵理子がミサを抱きしめようと手を伸ばしたものの、手先が光に触れる寸前、光の粒は消えてしまった。
「……ミサちゃん」
落ち込む恵理子の肩に、友介先輩が手を乗せた。
「まぁそう落ち込むな恵理子ちゃん。次があるんだからさ」
密かに思いを寄せる彼の慰めに、一度は気を許した恵理子だったが、慌てて手を横に振る。
「次!? 次なんてありませんよ!!」
「何言ってんだよ、今回誘ってくれたのは恵理子ちゃんだろ? 俺嬉しかったんだぞー? オカルト研究会は俺一人だしさ。じゃ、今度は俺が誘うからよろしく!」
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