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確認しようと、もう一度スマホの日づけに目を向ける。そこに表示された数字に目を疑った。
十二月三十一日。
そんなバカな。さっきは確かに一月一日だった。なのに日づけが昨日に・・・去年に戻っている?!
昨日、仕事納めをした筈だ。でもそれは全部夢で、本当はまだ、今日は十二月三十一日なのか?
頭が混乱して考えがまとまらず、意味もなくおろおろと室内を見回す。そんな俺の視界に、卓上型の日めくりが映った。
日に一枚ずつ剥がすタイプの日めくりさえが大晦日の数字を示している。
やはり今日は十二月三十一日で、新年がきたと思っていたのは俺の夢だったのか。・・・いや。
ふと思い立ち、俺は日めくりの最後の一枚を破いた。
目に映る世界が大きく歪み、激しい眩暈にうずくまる。どうにか意識の揺れが引いて顔を上げた時、総てが大きく変化していた。
スマホの日づけは一月一日に、テレビの映像はのどかな正月風景に代わり、上司からの着信履歴はなかったものになっている。
日めくり一枚で訪れた年明け。
もし気づかずにいたら、俺はずっとあのまま、永遠に大晦日を繰り返し続けたのだろうか。
正月早々、薄ら寒い気分が込み上げる。それを払拭するように、俺は布団に潜り込んで寝正月を決め込んだ。
日めくり・・・完
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