二章 調査

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蠢いているアンドロイドは知能がある。その形はカブトムシであった。角から電流が流れるようにできている。体内に装備されたマイクロカメラとマイクが特区の様子を年がら年中監視する。 門の梁に取り付けられた目玉がチェックコンピュータローズだ。 ローズに認識されない物や人が門を抜けると中で待機するゾンビに喰われると噂が立つほどに、セキュリティは強化されていた。 葉月はその包囲網を破って特区の中に入ろうとしたのだ。しかし所詮は浅知恵であった。磁気反応でアンドロイドを黙らせると言う方法が見事に失敗した。そのかわりにローズの不具合を導き出し、要らない警官たちを呼ぶはめになった。 葉月たちは命からがら屋敷にもどった。小さかったミサが泣きながら待っていた。 今となってはいい思い出であった。 「メリッサは簡単には落とせないでしょう。見張りに裏切り者がいたことは誰でも想像がつく」 ママはグラスを傾けた。酒が灯りに照らされて輝く。 「だけど特区の平面図なんてどうするんだろうな」 「あれば研究員に売り付けるでしょう。あの中でなにがどうなってるのか知りたい人間はたくさん居るんだから」 「正論ではあるけれど。知らない方がいい」
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