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「普通なら裏サイトに情報が流れていてもいいはずだ」
陽介が椅子に座ってパソコンを弄る。
葉月は真ん中のベッドに座って胡座を掻いた。
パソコンを三台使ってなにもないとなればここにいても無駄だということになる。
ヨトル街に入って数時間で捜査は行き詰まっている。
「このまま外に繰り出してもいいけど、アカシアについて分かるとも思えない。どうするかな?」
葉月が通信器具を確めると夕方の六時であった。日没の時刻である。一日が矢のように過ぎていく。不思議な気分であった。
マグリット総長からはふたりを宜しくと言われていたが、どうやら事態は深刻だった。
組織が絡むとなればことは生物兵器監査連邦だけでは済まない。結局、自衛団体や警察が出てきて白黒の決着を付けなければならないのだ。そうでなくても殺せば終わりという枠組みでは無くなってくる。葉月はいつしか警察や自衛団体の考えが億劫になっていた。ゾンビを殺すことに抵抗がなくなりつつあることも何時からか気づいていた。
今回も窃盗団体を削除してしまえばそれでいいと思いかけていた。
けれども何故かママから聞いた男のことが気になった。思い出せずにいる。あのときは興味を持っただけっだったのだが。葉月は頬に傷を持った男のことをどこかで聞いたことを徐々に思い出していたのだ。
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