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「そうですか。誰か平本おじさんの知り合いを教えてはくれませんか」
「平本博士と親しくしてる人ですか。それならママではありませんか?」
宮守博士から飛び出した単語に葉月は瞬いた。内心の驚きを隠すことができなかった。
「意外でしたか?」
「初耳です」
「ママと平本博士は昔から知り合いです」
「他には居ませんか?」
「ミサちゃんのお兄さんでしょうか。それくらいです。博士仲間で親しい人々は実験で死んでしまったそうです。だからこそ孤児を住まわせたのだと風の噂で聞きました」
話が終わる頃には昼になっていた。
陽介は相変わらずメモをいている。
三人は宮守博士の施設を一端でて近くにある被害にあった施設をめざす。
葉月は宮守博士の言葉を繰り返していた。頭の中では不思議なパズルが組まれているのだけれど、それを繋ぎ合わせても内容が邪魔をして本当のピースを暗闇から引き上げることができなかった。もどかしい。「幻」にいったとき何故に平本博士のことを話してくれなかったのだともやもやしながら葉月はユリアの左側を歩いていく。
被害にあった施設は、宮守博士の研究所より南に位置する。
宮守博士の知り合いでコノハ研究員が居るという施設では、実験生物の調査をしている。
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