四章 ヨトル街

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実験動物や生物に施された実験の結果をまとめる施設だ。其処から盗まれた実験動物と生物には異常が出ているはずだと宮守博士は教えてくれた。 コノハ研究員が居る施設の外見は、掲げた旗以外は宮守博士の研究所と同じだった。 内部の間取りも似たようなものだった。 間仕切りで区切られた小部屋の入り口には鍵が取り付けてある。 コノハ研究員は黙って一番奥の扉を開いた。 壁に穴が空いている。派手に壊されたことだけが一目で分かるようになっていた。瓦礫が床に点在する。ひしゃげたケージが吹き飛んでいた。焦げた臭いがする気がした。天井に煤がこびりついている。 他にも爆発の後遺症が見受けられた。 「あの監視カメラに映像が残っていたんですか?」 陽介がコノハに聞いた。 コノハは無表情で頷いた。元々感情が表にでない性格なのだろう。 「映像保管庫に用意してあります」 「宮守博士からは連絡してると聞いています。見せていただいてもよろしいでしょうか?」 コノハは三人を別の部屋へと移動させた。 映像保管庫といった場所には映像を観るための画面がある。 コノハが三十以上の画面の中からひとつの画面を選ぶと、画面が拡大された。
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