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自らを閉じ込めていたバケツと煉瓦を一瞥した後、子猫は雨傘を差している俺を見上げた。
『ぴゃあぁーー』
高く細い鳴き声を上げる。
濡れた黒の毛並の中で丸く輝く金色の目は、ビー玉のようによく澄んでいた。
辿々しい足取りで靴に寄り付こうとしてくる子猫を避け、俺は再び帰りの路へ戻った。
そんな俺の足取りに、子猫は鳴きながら小さな手足で懸命に着いてくる。
『着いて来るな』
振り返り、小さな身体を見下ろして言う。
助けたのは気まぐれだ。
これ以上何かをしてやるつもりはない。
俺は、動物が嫌いだ。
『ぴゃ~』
『……』
無邪気なものだなと、呆れる。
そうやってろくに警戒もしないから、たちの悪い人間にあんな悪戯をされるんだろう。
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