863人が本棚に入れています
本棚に追加
閉め切ったカーテンの向こうで、たんたんと雨粒が部屋の窓を叩いている。
それがどれだけ脆弱な音色でも、無音の部屋にはよく響く。
ベッドに横たわっていた俺の睡眠を妨害するには十分だった。
相変わらずの、自分の眠りの浅さを呪う。
起きたばかりの半端な意識で上体を起こし、のろのろと伸ばした腕でカーテンの端を捲った。
窓には、無数の雨粒が透明な線を引いていた。
雫でぼやけた窓の向こう、空は今日も厚い雲に遮られているようだ。
時計を見なければ、朝だなんて気付かない。
それだけ感覚を狂わせる程の薄暗さだった。
最後に青空を見たのはいつだっただろうか。
ここ数日 梅雨でもないのに、こんな雨景色がずっと続いている。
最初のコメントを投稿しよう!