863人が本棚に入れています
本棚に追加
『ぴゃあ、ぴゃあー』
『……』
…ーーその子猫というのが、
「ぴゃー…、ぴゃー…」
今外で鳴いている来客という訳だ。
あのまま家まで着いて来てしまった子猫は、あろうことか、よく庭に訪れるようになってしまった。
今は仕事の行き帰りをあいつに見届けられている始末だ。
その内諦めるだろうと無視を決め込んでいるが、それはいつになるのだろうか。
あの時、変な気を起こして助けなければ良かったのに。
雨の中で鳴いている子猫の声を聴きながら、過去の自分を侮蔑した。
そんな折、静かな家の中にチャイムの音が響いた。
予定の無い正真正銘の来客に首を捻りながら、俺は窓から視線を外した。
最初のコメントを投稿しよう!