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リビングへ続く扉を開けば、瞬く間に冷気が押し寄せた。
腕に抱いているノラが、寒さから逃げるように身体を埋めてくる。
暖房を着けていないからとはいえ、今朝は随分な冷え込みだ。
冷え性には堪え兼ねる。
身震いして肩を縮こめながら、俺は急いでリモコンを手に取り、暖房を入れた。
温度が部屋全体に行き届くまでの間、俺は縋り付いてきているノラを抱き締めてどうにか暖を取っていた。
そのとき何気なく視界に映り込んだ窓を見て、ふと疑問に思った。
昨日のあの酷い雨は、もう止んだのだろうか。
「ぴゃあ?」
丸い目でこちらを見上げているノラを抱いたまま立ち上がり、カーテンで閉ざされている窓へと冷えた足で歩み寄る。
そして射し込んでくる眩い光に目を細めながら、俺はカーテンの隙間から外の様子を窺った。
「……!」
申し訳程度に覗いた外界に、思わず目を丸くした。
余りにも珍しいその光景に、もっとよく見ようとカーテンを払い除ける。
雨で水浸しになっているのだろうなと思って眺めた外界は、吃驚するほど真白に彩られていた。
生きてきて一度も見たことのない雪景色が、目の前に広がっていた。
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