新しい朝はこんなにも

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やがて風呂から上がってきた那月が、首に掛けたバスタオルで髪を拭きながら俺の元へと来た。 「ノラくん寝ちゃったんだ」 ソファに凭れてカーペットの上に座る俺を、そして俺の懐で仰向けのまま爆睡しているノラを見て、和やかに表情を緩める。 「いいなぁ、気持ち良さそー」 「起こすなよ」 余計なことをやらかそうと伸ばされた手を留まらせるべく、即座に言葉を投げ付ける。 牽制された那月は、渋々と手を引っ込めた。 「でも兄さん、これじゃ動けないね」 胡座をかいた俺の脚を占領しているノラの寝姿を覗き込みながら、那月は苦笑する。 そんな彼に、俺は何でもないような表情で言葉を返した。 「別にいい。そのうち寝返りでもうつだろうし」 「え。それまでこのままいるつもりなの?」 「寝たばっかりなんだ、極力起こしてやりたくない。…お前もそろそろ部屋で休めよ。泊まり明けで疲れただろ」 「……」 言いながら目蓋を伏せる俺を、那月は暫く眺めていた。 そして立ち上がり、 「ちょっと待っててーっ」 言い残してリビングから出て行く。 (…待て? なにを?) 不思議に思っていると、那月は程なくして戻って来た。 その両腕には、何故か毛布を抱えていた。
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