新しい朝はこんなにも

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引き寄せられて、俺は再び彼の身体に身を預ける。 緊張で反射的に肩が強張るものの、それも直ぐに解れていった。 知ってしまった身を預ける安心感を前に、今さら抵抗なんて出来なかった。 「しかしまぁ、この歳になってこんなことで心配されるとは思わなかったなぁ」 「え…?」 目を瞬いて見上げる俺に、那月は言葉を続けた。 「だって兄さんが怒ってたのって、僕が深夜まで外出してたからでしょ? なんか門限あるもんね、うち。22時っていう」 「……」 「子供の頃に何回か深夜帰りもしたけど、父さんに何か言われたことも心配されたこともなかったからさ。なんか新鮮な気分を味わったよ」 くすくすと笑みを零す那月。 その笑顔に曖昧で申し訳程度の笑みを返して、俺は逃げるように目蓋を伏せた。 後ろめたさに、肩を窄める。 傍にいる彼の言葉に、”違うんだ”と内心でかぶりを振った。 怒っていたのは、門限を越えたからじゃない。 夜遊びをする那月の身を案じる余りにと、苛立ちが爆発してしまったからじゃない。 那月が別の誰かといるのが嫌だっただけだ。 自分の傍から去っていくかもしれない、その可能性に直面して、不安で仕方がなかっただけだ。 俺が苛立つほどに心配していたのは、俺自身のことだけだったんだ。
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