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ーー日曜日。
俺たちは朝から支度を始め、車を出した。
行きは那月が運転してくれるらしく、俺は助手席で大人しく景色を眺めていた。
「早く着かないかなーっ」
ハンドルを握りながら、那月が弾んだ調子で声を発する。
その横顔は本当に楽しそうで、俺も内心で浮ついてしまう。
俺はアウトドアには疎いから、行きたい所を訊かれても答えられない。
だから今回は丸投げという形で、那月の希望を優先してもらった。
それで良かったと、彼の様子を見て改めて思えた。
どこに行くかはまだ詳しく教えてもらっていないが、今日は全面的に彼の遊覧に付き合うつもりだ。
「……あれか?」
「そうそう! あれ!」
暫くして、道路の先に大きなゲートが見えて来た。
塀に囲まれているせいで内部はよく分からないが、どうやらここが今日の目的地らしい。
施設の私有地であるらしい広々とした駐車場に入り、停めた車から2人で降りる。
他の車も次々に駐車場へ入って来て、家族連れや恋人同士など、色々な人たちがこの場に降り立っていた。
「ここ、どういうところなんだ?」
駐車場へと歩む中、隣を歩く那月に訊ねる。
「縁日のお祭りみたいなところかなぁ?」
那月はそう言いながら、俺を見て笑った。
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