新しい朝はこんなにも

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「こんにちは。君はコキンメフクロウだね」 人の子供にするように、那月は気さくに話しかける。 コキンメフクロウと呼ばれたふくろうは、その小さな頭を傾げて那月を見上げた。 「ほら見てよこの愛くるしさをさぁーっ」 転じて猫撫で声になり、那月は指先を使って小柄な背を愛でるように触れる。 きょとんした丸い瞳とふっくらとした体型に射抜かれ、すっかり虜になっているようだった。 「嫌々してないで兄さんも触ってみなよ。無害なのは見てたら分かったでしょ?」 「……っ」 今一度 那月に勧められ、俺はふくろうを見つめて黙り込む。 鳥類は苦手だが、これぐらいのサイズなら、と葛藤している自分がいた。 実際 雀ぐらいなら俺だって、道端で遭遇しても何も思わない。 店で管理されているなら衛生面も問題ないだろう。 何より、無害だということが那月によって証明されている。 ……それならまぁ、一度くらいなら。 「お、触る?」 那月にいきさつを見守られる中、俺はおずおずとふくろうへ手を伸ばす。 そして教えられた通り、手の甲で背中をゆっくりとさすった。 「……あ、柔らかい」 ノラとは違う、癖になるような丸っこい感触に、強張った身体が解れていく。 そうして警戒心が薄れ始めた頃。 枝に脚を着けたままのふくろうが、唐突に両翼を広げ、ばさばさと音を立てながら羽ばたいた。 「ーーーっ!?」 反射的に手を引っ込め、パニックになりながら1、2歩と後ずさる俺を、腹を抱える勢いで笑っている那月に支えられる。 以降俺が、このふくろうカフェで触れ合いに臨むことはなかったーー。
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