新しい朝はこんなにも

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ーー会計を済ませた那月が、店の中から出て来た。 「お待たせー」 先に出ていていいと言われて外にいた俺は、至極満足そうな彼の笑顔を衰弱した表情で迎える。 同じ場所で同じ娯楽を共有していたはずなのに、この差は何なのだろう。 「あーっ、楽しかったー。ね、兄さん」 「それは何より…」 店内での俺の様子を一番近いところで見ていたはずの彼の発言に、苦り切った表情で言葉を返す。 あれから1時間ほど滞在したが、散々だった。 3匹並んでいるふくろうが揃って首を回しながらこっちを見つめて来たり、通り掛かりに狙ったかのように翼を広げたり。 彼らが大きな仕草を見せるたびに、俺は恐怖で寿命が縮むような思いをした。 那月はそれを見て軽々しく笑っていたが、俺はもうずっと生きた心地がしなかった。 「どうせならこのまま爬虫類カフェにも行っとく?」 「俺にとどめを刺す気か?」 「嘘々。もう十分だよ。怖かったのに着いて来てくれてありがとね」 …柔らかな笑みを直視出来ず、俺は視線を逸らした。 「…………いいよ別に」 今まで散々 馬鹿にしたように笑っていたくせに、このタイミングでそんな優しい表情になるのはずるい。 店内で味わった恐怖の時間が報われた気がして、文句を言う気も失せてしまうじゃないか。
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