新しい朝はこんなにも

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ーー日曜日の外出から3日が経った。 感覚はすっかり仕事に努める日常に戻っていたが、散策したあの街の景色はまだ頭に焼き付いている。 無論、ふくろうと道化師に対する恐怖心も。 それでもまた行きたいと思ったのは、やはり那月が隣を歩いていたからだろう。 今日の仕事を務め終え、俺は院長室に戻って来た。 開きっ放しのカーテンから西陽が射し込んでくる。 眩さに目を細める中、高層ビルが深い影を纏っているのが微かに見えた。 (帰るか…) 窓へと歩み、カーテンを閉ざす。 照明を点け、机上を簡単に整理する。 それから俺は白衣を脱ぎ、早々に着替えを始めた。 今日は那月が非番で家にいる。 たったそれだけの理由が、帰り支度を急がせた。 (……やっぱり駄目だな) そうして一刻も早くと帰りたがっている自分を、小さく嘲笑した。 彼が家にいるというだけでこんなに嬉しがる自分が、本当にその時が来たら彼を追わずにいられるのだろうか。 溜め息を吐いて、かぶりを振る。 胸に患う滲むような痛みに、俺は必死で気付かないふりをした。 ーーそのとき、院長室の扉が控えめにノックされた。 「はい」 「お疲れさまです、院長。一色纏です。 帰るところにすみません、少しお時間よろしいですか?」 「はい、大丈夫です。どうぞ」 「失礼します」 了承を得れば、一色纏は扉を開けて部屋の中に入ってくる。 そのまま俺の姿を捉えるなり、丁寧な動作でお辞儀をした。 部屋を照らすオレンジの照明に、彼のグレーの髪色はよく映えた。
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