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「でもやっぱりチョコレート50枚だけってのはやり過ぎかなぁ」
「だから30枚にして、グミかプリンを付けようって言ったんだよ。なのに純が質より量だって言うから」
「言ったけどさ、決め手はヒロがチョコレート50枚で院長がどんな反応するか見たいって言ったからじゃん」
「それは純だって乗り気だったじゃんかー」
杉崎と早川が反省会を開き始めた。
喧嘩とまではいかないが、なんだか責任を押し付け合うような言い合いになってしまっている。
「2人とも、廊下でやめてください」
言葉の応酬が続きそうなのを見兼ねて、口を挟む。
反省会はぴたりと止み、杉崎も早川もバツが悪そうに視線を落とした。
2人して、叱られたといった落ち込んだ表情をしてしまっている。
「…私が疲れていると聞いて、2人で考えて決めてくれたものなのでしょう?
チョコレート50枚もその心遣いも、とても嬉しかったですよ。だから仲違いみたいなことはやめてください」
「うぅ…」
「いんちょー…っ」
明らかに下手で不慣れなフォローだが、喜んでいるのだという旨が伝われば2人は納得したのか、俯きがちながらお互いに小さな笑みを交わした。
「……まぁ、50枚はさすがに吃驚しました。食べ切れるか心配ですね」
照れて笑う2人を見て、溜め息まじりに苦笑する。
「せっかくですし、お裾分けしてあげたらいいのではないですか?」
そのとき、一連の流れを眺めていた一色纏が微笑みながら口を開いた。
「院長には、とても仲の良い弟さんがいらっしゃるそうじゃないですか」
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