新しい朝はこんなにも

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ボタンとボタンの間を潜り、長い指先がゆっくりとシャツの中へ侵入してくる。 「まだ綺麗に残っているでしょう? ほら、確か。この辺でしたね…」 「……っ」 痕を探す手付きに眉をひそめ、目蓋を閉ざす。 肌に直に触れられ、白々しくまさぐられて、思わず小さな悲鳴が零れそうになった。 (………気持ち、悪い…) 望まない手に触れられ、背筋が凍りつく。 けれど逃げられないことと逃げても仕方がないことを理解してしまったこの身体は、すっかり固まって動かなくなっていた。 着るに着れなくなった背広を、ただ腕に抱き締めることしか出来なくなっていた。 「………ん?」 不意に怪訝そうな声を零したと同時に、肌の上を執拗に動き回っていた一色纏の指先が止まった。 ある一点の引っ掛かりを、確認するように爪で探りながら。 「……ほう」 何度かそうした後、一色纏は納得したように俺のシャツから指を引き抜いた。 そのまま俺の手首を強引に掴み、無理やりソファへと誘う。 「……!」 俺は困惑と不安が入り混じる中、一色纏にソファの上へと押し倒された。 半ばパニックになって急いで起き上がろうとするが、手首を頭の上で押さえ付けられたまま馬乗りになられ、あっという間に身体を制圧されてしまった。 「や、やめ…」 「大声を出すと人が来ますよ。不埒な真似は見られたくないのでしょう?」 拒絶の声を上げる俺を、一色纏は冷静な声で遮る。 「知られたくないのでしょう? 誰にも、何も」 薄く浮かべた優しげな笑みで、脅し同然の言葉で語りかけた。
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