新しい朝はこんなにも

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「ん、味は普通だね。美味しいけど」 苦い表情で拒否反応を示している俺を余所に、那月は摘んだそいつを一口で頬張る。 …視覚に訴えてくる刺激に気分が悪くなってきた。 「あれ? 兄さん食べないの?」 「馬鹿言え、そんなの口に入れられるか。何の冗談だ…」 「神経質だなあ」 2つ目を難なく口に入れて、那月は呆れたように言った。 「味は普通だし本物でもないのに。兄さんそういうとこほんっっと神経質なんだから。というか本物と偽物を分けて考えられないとかむしろ視覚諸々の神経鈍いんじゃないの?」 「…それを噛んで食べるくらいなら神経質で結構だ」 その明らかに煽ってる言い草と小馬鹿にしたような表情が気に入らなくて、俺は澄ました顔で言い返した。 「こんな夜更けに甘い物を食べるようなだらしない食生活をして、肥満体型になりたくないしな」 「はーっ、そんなガリガリの癖して太る心配とかするわけ?」 3つ目を飲み込んで4つ目を摘みながら、那月は納得いかなさそうに顔をしかめた。 「兄さんもっと体重計乗るか裸で鏡の前に立つ習慣つけた方がいいよ? そんな骨と皮だけで成り立ってる身体とか貧弱過ぎてパンチ1回で沈むよ。 大体おかしいでしょ、僕がいつも丹精込めた手料理でカロリー与えてるのに何でそんなペラペラ体型のままなのさ。僕に見えないところで何かしてるでしょ、裏でカロリミットとか飲んでんじゃないの?」 「…飲まない」 叩き付けるような小言から飛躍してあらぬ疑いをかけられ、俺は眉をひそめた。 訝しげに目を細めている那月に、ムキになったように反論する。 「俺はおまえが作ってくれた料理を無駄にするような真似なんて一切していないし、したくもない」
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