新しい朝はこんなにも

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那月が帰って来たのは昼前だった。 「僕今から世にも奇妙な物語の録画見るけど兄さん一緒に観る?」 帰宅早々風呂に入り、バスタオルを頭に被せて出て来た那月が訊ねてくる。 「寝なくていいのか?」 「終わってから寝ても間に合うよ」 「…じゃあ」 いいのか? と心配だったが、彼自身がそう言うならと付き合うことにした。 …ところがいざ録画が始まって30分ちょっと経ったとき、那月は眠ってしまった。 「おい、観ないのか?」 カーペットに横になって寝息を立てている那月に声をかけながら、控えめに肩を揺する。 けれど返事どころか眉ひとつの反応も見せない。 もうすっかり爆睡してしまっているようだ。 クッション片手におもむろに寝そべり始めたのは横目に気付いていたが、楽しみにしていた録画そっちのけで眠ってしまうのは意外だった。 「しょうがないな…」 深く目蓋を閉じている那月の寝姿を見兼ねて、俺は立ち上がる。 いったん自分の部屋に向かい、無造作に包めた毛布を両腕で抱えてリビングに戻った。 「風邪引くぞ」 呆れ混じりに言いながら、身体を覆うように毛布をかける。 「ぴゃっ」 それを終始見ていたノラが、嬉しそうに毛布の中に入り込み、眠っている那月の懐へ潜り込んだ。 眠っている俺たちに便乗して傍に引っ付いて寝転ぶのは、ノラがよくやる行為だ。 「ぴゃーっ」 ごろごろと喉を鳴らしながら、ノラは身体を捻ったりして那月に擦り寄る。 ちらちらと顔を掠めている黒い体毛が擽ったそうで、眠りにくそうだなと思った。
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