857人が本棚に入れています
本棚に追加
/888ページ
ずっと、自分の感情を間違いだと思っていた。
真っ当な優しさや愛情を知らず飢えていたから、それらを与えてくれる彼を手放せないでいるだけなのだと思っていた。
ただ一方的に縋り付くだけの、病のような依存心だと思っていた。
だから自分の気持ちを、認めるわけにはいかなかった。
認められなかった。
……だけど、今なら。
胸の中にはっきりと灯ったこの願いを見つけた今なら。
あってはいけないと否定し続けてきたこの感情は、他の人と何ら変わりのないものなのだと。
ちゃんと純粋な気持ちから生まれたものだったのだと。
生きてきて初めて、人を想える自分になれたのだと。
胸を張って認めてやっても良いのかな……。
最初のコメントを投稿しよう!