新しい朝はこんなにも

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ーー不意に、身体が大きく揺らいだ。 バランスを崩し、ソファの上に落ちる。 俺は倒れるようにソファに横たわっていた。 那月が俺を、強引にソファへ落としたからだ。 「……兄さん、聞いて」 目を瞬く俺に覆い被さりながら、那月は静かな口調で語りかけてきた。 「僕たちは兄弟なんだよ。義理でもなく、血の繋がった兄と弟なんだ」 見下ろす目に射抜かれる。 俺は起き上がろうともせず、言葉を繋ぐ彼の顔をただ仰いだ。 「その2人が一線を超えるって、どういうことか分かる?」 「……」 「決して祝福される関係にはなれないんだよ。”好きなら仕方ない”では赦されない、綺麗な話で済ましてはくれないんだ」 「………」 「周りには隠し通さなくちゃいけない。 堂々と恋人として振る舞うことも出来ない。ずっと窮屈な思いをすることになるよ」 「……うん…」 那月の言葉は、容赦なく俺に現実を突き付ける。 いずれ悩むであろう問題から目を逸らすことを、見ないふりを許さずに俺の胸に刺し込む。 「兄さんは、それでも僕を選ぶの?」 そうして優しい弟は、最後の一線を踏み越えようとする兄に、最後の警告を示す。 「………嫌だ」 「………」 「お前じゃなきゃ、嫌だ…っ」 ーーその優しさを、俺は踏み躙った。 そしてかぶりを振って強く望んだ。 小さな子供のように、聞き分け悪く我儘に訴えた。 目の前の那月の存在を求めた。
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