新しい朝はこんなにも

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「ひっ、あぁ…、ん…」 ……じっくりと時間をかけて自身を掻き触れられた後、秘部の中へと入り込んでくる那月の濡れた指先。 「ぃやっ、 あ…!」 内部を探りながら奥へ進む感覚に、俺はシーツを握り締めながら身を捩った。 強張る肩を小さく震わせ、内股の奥に掛かる圧迫感にきつく目蓋を閉ざす。 「大丈夫」 那月はそんな俺を宥めるように髪を梳きながら、火照っている頬にキスをした。 そうして俺の気を紛らわせながら、少しずつ指先で中を擦り始める。 「あ…っ! や、…いっ」 上体を浮かせ、那月の身体に腕を回して必死に縋り付く。 那月はそれを受け入れるように、俺の背中を支えて自分へと抱き寄せてくれた。 「なつ、き…。那月…っ」 ベッドに座り直す彼へと身体を預け、その肩へと顔を埋める。 「兄さん…まだきつい?」 「ん…っ、分からなぃ…」 優しく背中をさすられながら問われ、俺は彼の腕の中でかぶりを振った。 ……正直、きつくないと言えば嘘になる。 「…でも…やめないで…っ」 だけど触れていてほしい。 俺から、離れないでほしい。 その指先の何もかもが、痛くて辛いわけじゃないんだ。 「……こっち向いて」 「……っ」 言われるままに肩から顔を離して那月と向き合い、何度目かのキスをした。 上も下も責められて、訳が分からなくなってくる。 余計な思考全部が削がれ、那月の与える刺激だけしか判断出来なくなっていく。 「ん…っ、んぅーー…」 俺の理性って、こんなに脆いんだ。 一度どくりと重く脈打ち、そして身体の力が抜けていく最中。 真っ白になるばかりで働かない脳が、そんなことを考えた。
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