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「よし、全員終わったなー?」
黒板に書かれた名前をチェックし終わると、ハムちゃんは
「じゃあ席替え開始して」
そう言って合図代わりに手をパンと軽く叩くと、教壇から窓際にある教卓に移っていった。
ガタガタ音をたてながら、みんな自分の机を運んだ。
俺は一番前から四つ後ろに下がるだけだからラクなもんだ。
自分の場所に運び終わると、窓際席のお約束。早速グランドを見た。
さっきも見ていて知っていたが、残念ながら体育の授業をやっているクラスは無かったが……。
後ろは顔と名前は分かるが、あまり喋った事はない奴。
男子だが「勉強が好きでーす」って感じで、大人しいが先生に指されると的確な答えを言う奴。
前は松井さんだ。
クラスの女の子の中のリーダー的存在。
元気な声でよく喋る子で、怒らせたら怖そうだ。
忘れ物は…………借りれそうもない。
逆にお説教を貰いかねないな。
横は……
「青島ー、よろしくー」
そう言って俺の横に机を置いたのは、勉強は普通かな?
スポーツも普通だと思う。
顔がちょっといいくらいか?
まあスゴくカッコいいってわけじゃないだろ。
こいつより顔のいいのは沢山いるから。
ただし「優しい」って女子からは人気がある。
「おう、七瀬。こっちこそよろしくー」
普通に挨拶をした。
七瀬ともあまり喋った事がない。
今までコイツの席はクラスの真ん中辺り。そう今回勇作が座った所辺だったし、彼には彼の友達がいたから、春に行われた校外活動や体育の授業でお喋りをしている程度だ。
優しいって評判だから、忘れ物を借りるならコイツか?
「よっしゃーっ、七瀬の隣ー」
「おう、よろしくー」
「俺も七瀬の前なんですけどー?」
「お前もかぁ。よろしくなー」
なんだなんだ?
俺の時とは違って楽しそうに会話しているぞ?
って、こいつら七瀬とよくつるんでいる奴等じゃん。
あらら、運良く仲間同士がくっついた訳ね?
「はーい、じゃあホームルーム始めるから」
ハムちゃんの声で一瞬ざわつきがやんだものの、またお帰りに向けて賑やかになった。
そのまま「さようなら」になり、俺はリュックを背負うと勇作とゲームの約束をし、さっさと学校を後にした。
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