足跡を辿れ

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壊された窓は、すぐに栗色の狼の魔法によって修復された。 目の前で直っていく様を、柴犬のおじさんはびっくりした顔で見つめていた。 「こんな村には、魔法を使うようなのはいやしないからねぇ」 そう言いながら、僕たちを食堂に案内してくれた。 そして今、僕たちは、柴犬のおじさんが用意してくれたコーヒーを飲みながら、食堂のテーブルについている。 けして狭い部屋ではないはずなのに、この狼たち3人と縛られて転がされている黒豹がいるせいで、すごく狭く感じる。 僕は、3人の狼をチロチロ見ながら、コーヒーカップに口をつけた。 ポップンは、黒豹の目の前に座って、黒豹をジーッと見つめている。 「落ち着いたか?」 声はレヴィの白銀の狼が、僕に優しく声をかけてきた。
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