登校は波乱に充ちて

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僕「…………。」 僕たちは馬車に乗りのんびり街道を歩いている。隣にはここ2時間程ずっと喋って居られる。そろそろ疲れだすと思うんだけど……今は「魔術理論と体術の有用性」を語って居られる。もちろん完全に無視・無言と言う訳ではなく、同意できる所は頷く、と言った程度で、あまりいい空気とは言えないかな。 ケヤキ「ふぅ……ちょっと疲れちゃった……。御免ね、静かになるの苦手で……ずっと喋りすぎちゃうんだ……。その……1つだけ、聞きたいんだけどお願いしてもいい?ずっとしゃべって来るの……嫌……かな……?」 ケヤキさんは泣きそうな目で僕を見つめて来られる。もちろん嫌いじゃないし、お話しも嫌いじゃない、その事は伝えようと思う。 僕「嫌いじゃない……よ……その……どう返事していいか……解らない……から……その……今まで……拒絶されたことしか……無かったから……分からなくて……ゴメンネ……。」 ケヤキ「そうだったんだね……今度からはゆっくり喋るから、宜しく……、ね?」 ケヤキさんは僕のペースに合わせようとしてくれてるのか気にしてくれていることに気付く。 僕「そのままで……良い……よ。その方が……僕も……楽。」 ケヤキ「うん、分かったよ。あ、そうだ、この後直線なんだけど、どうする?」 ケヤキさんはこの後の予定を聴いてくる。 僕「少し……寝る……。疲れ……ました……。」 僕は少しだけ目を閉じる。まばたき程度だけど。 ケヤキ「うん、分かったよ。着いたら起こすね。後ゴメン、王都では別行動になるから一緒に行けないの……ご免なさいね。」 ケヤキさんは目線だけ下に下げる。一瞬頭まで下げられたらどうしようかと思ってしまう。 僕「はい……分かりました……では……お休みなさい。」
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