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僕「…………?」
僕は声の方に顔をフラフラと向ける。そこにはさっき助けてくれた白髪の男性が鬼のような形相で立っていた。あの姿は僕でもよく覚えている。かつて神帝には国王と7人の帝が忠誠を誓い、慕っていた人たちがいたという。その1人で、5大貴族の中の筆頭後継者が国王に就任したその人本人であった。僕は合わない焦点を合わせようとするも血が頭に上り、フラフラと前によろける。後ろから羽交い締めにされる。今回は前に倒れないように優しく抱き抱えられる感じがした。後ろを振り返るとそこにはさっき広場で助けてくれた女性が立っていた。
僕「……!?ユリ……ユグドラシル様……?クッ。」
僕は引っ張られない程度の速さで方膝を着き、前のラフレシア・アクロン様を見る。男達は土下座の形で動かない様子。むしろ動けない、か。
ユリ「君、大丈夫?」
ユグドラシル王妃は顔を覗かせてくる。僕は無言で頷く。まぁ、僕の場合絶好調でも無言で頷くだけかもしれないが。
僕「だ……大丈夫……です……。」
僕はなけなしの体力で声を捻り出す。あ、でもちょっと気持ち悪い……。
数分後……。
男達「申し訳ありませんでしたー!!!!」
男達は土下座をして、走って逃げていく。それを見て僕はゆっくりとラフレシア様の下へ歩いていく。
僕「……、あ……ありがとう……。」
僕はお辞儀をして礼を述べる。ございましたまで言うつもりだったんだが恥ずかしくて声が小さくなる。
ラフレシア「良いよ。気にしないで。ユリ、怪我を治してあげて。」
ユリ様が僕の怪我を魔術で癒していく。
ユリ「はい、終ったわよ。怪我は治したから跡は残らないから安心して。そろそろ立てる?あら?その教科書……アナタ。ボソボソボソ。」
ユリ様は僕を立たせると離れていく。
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