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十年前のオレが知ってるエリは、今のエリとは違っていた。
エリはいつもさみしげで、無口で、孤独だった。
エリの唯一の友達は、境遇が似ていたオレだけ。
あの頃のオレたちは、誰からも愛されない自分を理解してくれる仲間が欲しかった。
「戦うわ!
たとえ、死んでも!」
「エリ、無茶はよせ!
多勢に無勢だ」
「サバイバルゲームの勝者は、夢を叶える!
私には、命をかけても、叶えたい夢があるから」
エリはそう言うと、敵の背後にまわるために、再びぬかるんだ土の上をほふく前進で進んでいった。
「エリ、無茶はよせ!」
そう叫んだオレの言葉も無視して、エリはオレたちから離れていった。
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