38人が本棚に入れています
本棚に追加
すっかり日が沈み辺りが暗くなった頃、夜勤の看護師達がミーティングの為、院長室に集まりだした。
今夜の夜勤は女性ばかりの三人で、それぞれの好きな歌手の話で盛り上がっている。
院長はそれを微笑ましく眺めながら、
「楽しそうなところを、おじゃまして悪いのだが、そろそろミーティングを始めるよ。日勤者からの引き継ぎで、建物の点検結果は聞いていると思うのだが…」
そう言って院長は説明を始めた。
「と、言う訳で、今日も院内の危なそうな場所をしっかり覚えて対応してください。本来ならこの建物をどうにかしたいのですが、お金の問題もあり、今すぐどうこうはできません。皆さんに負担をかける部分もあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いします」
「わかりました。私達は大丈夫ですよ。みんな、今日も一日頑張ろうね」
「はい! 危険な場所は覚えました。今夜も来訪者がきたら、危ない場所に向かわせないように、しっかりと誘導します」
「院長、任せてください!」
「みんな、いつもありがとうね。……おっ、さっそく誰か来たみたようだ。外から車のエンジン音がするぞ」
そう言って院長は、割れたガラスが残る窓枠から外を見た。
そこには病院の正面玄関前に車を停め、懐中電灯片手に降りてくる若者三人の姿があった。
会話までは聞こえないが、なにやら騒がしく、時折笑い声が混じる。
最初のコメントを投稿しよう!