口封じ

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「その女ですけど、昨夜、私を待ち伏せていたようなんです」 「なんだって! 何か言われたのかい?」 野村は大きな声をあげた。 「いいえ。近づく前に怖くなって、姉の家に逃げ込みましたから」 「どうしてその時、警察に連絡しなかった」 「確実に、犯人だという確証もありませんでしたから」 「なるほど。万が一ということもある。暗くなる前に帰宅してくださいよ」 「無理です。毎晩、残業なんです」 「それは困りましたなぁ。とにかく、夜は一人にならないようにしてくださいよ」 野村はいうと、さっさと帰ってしまった。
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