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「スリー・ツー・ワン・ア ハッピーニューイヤ~!」
ステージ上のシェリルが叫ぶと同時に、ステージの上に新年を祝って花火がいくつも打ち上げられ、観客たちは一斉に拍手と共にシェリルに「明けましておめでとう!」と叫ぶ。
「みんな、明けましておめでとう!今年もマクロスピードで突っ走るから、ちゃんと着いてきなさい!それじゃ年も明けたし、カウントダウンライブもラストの曲よ。『ノーザンクロス』」
シェリルがマイクを握り直すと、ノーザンクロスのイントロが流れ出した。
カウントダウンライブが終わり、控え室に戻るとソファに腰を下ろし、安堵の息を吐く。
まだ興奮が覚めやらず、全力で歌ったので控え室の暖房さえ要らないくらいだ。
リモコンで暖房を切ると、背後からフワリとストールが肩に掛けられた。
「暑いわけじゃないんだから、これくらい羽織っておけよ」
「アルト」
「お疲れ」
「ありがとう。あ~楽しかった!やっぱりライブやりながらの年越しは良いわね」
キラキラと瞳を輝かせて話すシェリルを、アルトが微笑みながら見つめる。
「あ、でも、アルトは二人きりで年越ししたかった?」
急にシュンとしながらシェリルが尋ねるので、何を今更…とアルトが呆れる。
「お前と付き合う前からクリスマスはクリスマスライブだ、年越しもカウントダウンライブだってスケジュールだったの知ってたから、気にしたことないな」
「でも…普通は二人きりで過ごしたりするものなんでしょう?」
「これが俺たちの普通だろ」
アルトの答えに、シェリルがクスッと笑う。
「物分かりの良いパートナーで良かったわ」
「そりゃどうも」
「アルト」
シェリルが座ったままソファの後ろに立つアルトを手招きするので顔を近づけると、アルトの頭を引き寄せて軽く唇を重ねる。
「遅くなったけど、今年もよろしくね」
「ああ。よろしくな」
アルトも嬉しそうに答えると、もう一度唇を合わせた。
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