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なぜ僕なんかと付き合いたいのか、実は何かの理由で僕を騙すつもりなんじゃないか、なんてストレートに聞けるほど、僕の神経は太くない。さて、どう切り出したものかと穂乃果さんの目を見つめた。すぐに逸らした。可愛すぎて1秒たりとも直視出来ない。もう騙されてても構わないんじゃないかコレとか思ってしまった瞬間、穂乃果さんの方から語りだしてくれた。
「すいません。志郎さんの心配してることは分かります。こんなに可愛いわたしが、なぜ志郎さんを選ぶのかが分からないんですよね、きっと」
「え? あ、お、おう」
いや、その通りなんだけど。自分で言っちゃうとか、結構イメージ崩れるなこの子。
「きっと忘れちゃってるだろうなって思ってましたけど。私、実は志郎さんの幼馴染で」
穂乃果さんは空を見上げると、思い切ったようにそう言った。
「えっ? うそ? それいつ頃?」
驚いて問いかけるが。
「その頃のあなたが初恋の人で」
「えええ?」
僕の質問は軽く流され、さらに驚愕の告白を被せられた。
「すぐに引越ししちゃったけど、わたしは志郎さんのことお兄ちゃんお兄ちゃんて呼んでて。いつもお兄ちゃんの後ろにひっついて歩いてて」
うおおお! 幼馴染みに妹属性がプラス! この子、これだけでもうラノベじゃヒロイン確定だぞ!
「しばらくはアメリカに住んでたんですけど」
しかも帰国子女!
「今はとある大富豪のお屋敷で、メイドとして働いているの。秘書みたいなこともしてるけど」
そして今はメイドさん&秘書だとぉ! 最強かこの子!
「でも、それは世を忍ぶ仮の姿。実はわたし、魔法少女でもあって」
「魔法少女キター! て、え? は?」
そこまで来るか! てテンション上がりまくった僕は思わず叫んでしまっていた。けど流石にここはおかしいぞ! どう考えても違うだろここ!
「今のわたしがあるのは、全てあなたのおかげなの。あの時、あなたが魔獣からわたしを守ってくれていなければ、きっとわたしは死んでいた」
「魔獣!? ナニソレ!? あの時っていつの時!?」
ないないないないない! いくらなんでもそれはないわ! 信じるヤツいないわソレ!
目を潤ませた穂乃果さんが、必死に訴えかけてくるが。
こんなあからさまな嘘で騙せるほどちょろいやつだと思われてんのか僕? 軽くへこむわ。
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