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「信じられないですよね?」
「うん」
僕は迷いなく頷いた。
「無理もないです。あの時、あなたは瀕死の重傷を負いながらもわたしを逃がす為に戦って……。一命は取り留めたものの、記憶に障害が残るって話は聞いてましたから……」
そこまで話すと、穂乃果さんは顔を覆って泣き崩れた。
「え、ええ~?」
ど、どうしよう。女の子が泣いている。が、慰めようにも話が話だからなぁ。真面目に乗っかれないというか、対応に困るな。
「でもわたし、思ったんです。もし、もしも。あの時の、わたしの姿を志郎さんが思い出してくれたなら。魔法少女のわたしを、志郎さんが見てくれたなら。きっと! きっと記憶が戻るんじゃないかって!」
「うわっ!」
そう言い放った刹那、穂乃果さんが眩い光に包まれた。涙の笑顔が、光に溶ける。
すぐに光が収まった後には。
「じゃじゃーん! 魔法少女☆ホノカ参上ですっ!」
頭がおかしいんじゃないかと疑うほどにフリルだらけのコスチュームを纏った穂乃果さんが、空から僕を見下ろしていた。
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