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「何?ここ、どこよ!」
『すばらしい!この負けん気の強さ!腹から出る声!貧相なむ「貧相言うな!」』
どこからともなく聞こえてきた声に、最後まで言わせずに言い返す。
「む」の後に続くのは「ね」だと言うことは、彼女自身コンプレックスになるほどよーく熟知している。
敏感に反応する彼女に、声は歓喜にうち震えた。
『マーベラス!エクセレント!パーフェクト!平マチルダ、日本人の父とアメリカ人の母から生まれた君の遺伝子が、見事!私の開発した対大宇宙侵略者排除兵器に適合したのだ!』
興奮ぎみに話す声は、自分の名を「ドクター尾国」と名乗った。
その名に、マチルダは聞き覚えがあった。
幾度もノーベル賞候補に挙がりながらも、研究内容があまりに突飛で選考者たちの理解が追い付けず、本人もそんなものを振り切って自由気ままに振る舞う狂気の科学者。
自分はそのドクター尾国なのだと、声は告げる。
『よく聞きたまえ。このたび、君は全人類の救世主、女神、聖母に選ばれたのだ!私とタッグを組むのだよ!』
「・・・・・・・・・・・はあ?」
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