第2章

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「さあ着いたよ。」 男と歩きたどり着いたのはログハウスだった。 「男の一人暮らしだからむさ苦しいけど、そこはごめんね。」 そう言って男は柔らかく笑った。 明るい部屋に入り、顔を見合わせるも何にも男に反応はない。 引きこもっていたため、私の顔の認知度は低いのかもしれない。 少し肩の力が抜ける。 「寒かったでしょう。暖かい飲み物作るから待っててね」 「…はい。」 ソファへ案内され、待つ。 とりあえずこの人の家で一晩過ごし、朝になったら外に出よう なんてことを考えていたら すると男がコップを持ち 「どうぞ。」 と言って近づいて来た。 ティーカップの中身を見て私はびっくりした。 バラの絵がついた美しいティーカップの中に入っていたのは 梅昆布茶だったからだ。 梅昆布茶は私の好物だ。 城にも部屋にも常備してあるし、今も鞄の中に個包装の袋がある。 ただ私の梅昆布茶好きは異質らしく、城内外に伝わっている。 王族に携わる仕事をしている人間は皆梅昆布茶を常備しているという妙な噂もあるらしい。 それはさておき 「どうして…」 狼狽えながら男の方を見る。 すると男は 張り付いたような笑みを浮かべ 瞬きもせず一息も入れず 真っ直ぐ私の方を見て淀みなく言った。 「梅昆布茶が出てくるのかって? やだなあ。当然じゃないか。 それは君の好物だからに決まってるよ。 白雪姫様。」 バレてました。
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