第1章

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『貴女が出て行かなくても、後から来た継母を城から追い出せばよくない?』 そういう選択肢もあった。 再婚した時、私は12歳で多感な時期だった。 初対面の第一印象から合わないとわかったので、追い出そうと思った。 しかし現実を見るにそれは不可能だとわかった。 先ほどの財務大臣が言うように、継母が来てから国や城下は良くなったのだ。 特筆すべきは外交であった。 私と同じようにインドア派で口下手な父様は全てにおいて家臣の言いなりになっていた。 しかし若い妻と再婚したことにより、自信がつき、それに加えて同行した継母様の圧倒的コミュニケーション能力。好転した。 何度か亡母方の家臣からそう言う話を持ちかけられたが、そうすると私が上手く生きてる継母にやっかんでいるみたいで、それは嫌だった。 断っていたうちにその家臣は自滅し失脚してしまった。 以上の理由から継母様の追放は諦めた。 問題はここからである。 上手くいってる外交の成果として 明日のパーティは近隣の国の王族を一斉に招待し、私の結婚相手を決めることを耳に挟んでしまった。 突如始まる惚気タイムに未だに困惑する私を追い出すためだ。 それは別にいい。わりと本望だ。 ただ問題は相手だ。
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