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「あら、もうこんな時間ですのね」
ふと時計を見れば六時になっていた。
「今から夕食の仕度をしますね」
若菜は嬉しそうに部屋を出ていった。
「はぁ~」
一人になると思わず口からため息が出た。
東京から思いきって訪ねてきてよかった。
彼女は僕の事を覚えてくれている。
ダメだ…嬉しくて顔がにやけてしまう
若菜は小学六年生の頃からクラスで、いや学校で一番の美人だった。
その美しさは変わらずに、より洗練された女優と見間違うような女性に成長していた。
「お待たせしました」
若菜は御膳を持って戻って来た。
焼き魚や煮物、漬物などがぞろりと並んでいる。
料亭みたいだな…
「今ごはんをよそりますね」
「うん、ありがとう」
若菜から茶碗を受けとる。
「ふふっ」
「どうしたの?」
「私、嬉しいんです
あなたとこうして過ごすことが出来て…」
若菜は頬を染めながら僕を見つめる。
僕の胸は甘く疼いた。
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