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この先に誰かいるな…
「あの、すいません」
僕は幕を捲り中に入る。
するとそこは弓道場になっており、長い黒髪の美少女が弓胴着で弓を引いていた。
「あっ」
美少女は驚きの声をあげ、矢は僕の方に向かってきた。
「ひっ」
矢は僕の足元に刺さった。
「ごめんなさい、大丈夫ですか」
美少女はへたりこんでいる僕に駆け寄ってきた。
「うっうん、大丈夫…」
「わたくしったら、驚いてしまって」
彼女の近づいた顔は美しく僕は言葉が出なくなってしまう。
「あの…あなた…」
彼女は驚いたような上ずった声を出した。
はっ、そうだ、言わなければ…
「君は綾崎若菜だよね? 覚えてないかな、小学六年の時に一緒のクラスだった…」
「忘れません…絶対に、貴方のことだけは」
若菜はじっと僕の顔を見つめる。
その瞳は潤んでおり、眼を離すことが出来なくなってしまう。
「あの、」
「あっ、まあ」
僕が声をかけると若菜は顔を離し恥ずかしそうに両頬に手を当てた。
その顔は赤くなっている。
かっ可愛い…
あぁ…抱き締めてしまいたい…
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