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「若菜、誰かおるのか」
弓道場に白髪の凛々しい老人が入ってきた。
あっあれは…綾崎老…
「誰じゃ、その若者は」
若菜は僕を守るように綾崎老の前に出た。
「お爺さま、この方はわたくしの小学校の同級生です
わたくしがお呼びしたんです」
「すいません、お邪魔してます」
僕は急いで立ち上がり頭を下げた。
「客人、泊まるところはあるのか?」
「えっ、いえまだ決めていません」
「では家に泊まっていけ」
綾崎老は素っ気なく言うと道場から出ていった。
「お爺さま、ありがとうございます」
若菜ははずむような声で礼を言い、僕に微笑む。
「ごめんね、突然来たのに」
そして嘘までつかせてしまった…
僕は若菜に頭を下げる。
「お気になさらないで下さい
さぁ、お部屋へ案内いたします」
若菜は嬉しそうに僕にまた微笑んだ。
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