若菜1~再会~

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若菜に案内されたのは綾崎邸の離れだった。 畳の十畳ほどの部屋であり、その他に台所、風呂、トイレが付いている。 畳の上には旅館にあるような木目の机がおいてあり、僕はそこにちょこんと座り部屋を眺めている。 どんだけ金持ちなんだ… ここで生活出来るわ… 若菜というと着替えて来ると言って離れを出ていった。 「失礼いたします」 襖が開き若菜が入ってきた。手にはポットを持っている。 「今お茶を入れますね」 なれた手つきで急須にお茶葉っぱを入れポットからお湯を注ぐ。 「若菜…あっそうだ、ごめん 久しぶりなのに名前で呼んだりして…」 「いえ、名前で呼んで下さい あの頃のように…」 若菜はゆっくりと急須からお茶を注ぐ。 「うん…ありがとう」 なんだか気恥ずかしくなり若菜から眼をそらしお茶を頂く。 お茶は丁度いい温度で甘みがわかる。 「おいしい…」 「ふふっ、おそまつさまです」 僕は幸せだ…この笑顔を見るために京都に来たんだ…
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