彼女へのI

12/14
前へ
/15ページ
次へ
『飽きたの……でも貴方がいけないのよ! なんで私が悪いみたいな感じで言うの?浮気されるのがいやならされないようにしなさいよ つまらないのよ、刺激がないの』 一気にまくし立てて言う彼女の言葉は今まで我慢してきた本音なのだろう。 優しかった彼女の顔はそこにはなくて、この人は誰だろうって冷静にぼーっと見ていた。 さっきまでの別れたくないって気持ちはなぜかもうなくて、誰と付き合ってたのだろうって分からなくなった。 『この際だからはっきり言うわ別れましょ、もう他の人がいるの用無し この家は私が貰うから出てってくれない? あの人をここに呼びたいの』 彼女のためにずっと貯めてた親の老後に備えた貯金をこの家のために使った。 そのために使うのに後悔は無かった。また貯めればいいそんな嬉しさと温かさを含んで買ったこの家は彼女と他の男の家になる。 嫌だとは言えなかった。 彼女のために 彼女との未来のために買った家にずっと1人で住むには辛すぎるから 『早く荷物まとめて今日中にはでてって? 早く呼びたいの』 怒りよりも悲しみで支配された心は 苦しくて 怒る気にもならなくて 元々少なかった荷物はすぐに片付いた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加