彼女へのI

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電気をつけないで彼女の帰りを待つなんてドラマの中だけだと思った。 けれど… 彼女になんて別れを切り出せばいいのか、どう言ったら一番良いのか それを考えていたら 日が暮れるのを気づかなかった。 だから電気をつけ忘れてたんだな…なんてドラマのワンシーンを自己解析して鼻で笑ったり、心が不安定だ。 『ただいまぁ~あれ?…』 ご機嫌で帰ってきた彼女、電気が付いてなかったのを不思議に思いながらも一瞬で不機嫌になった。 『なんで電気付けてないの?バカなの?』 彼女の口から自分を罵倒するような言葉が出てくるのは初めてで驚いた。 『ごめん、つけるの忘れてたや…』 作り笑いをしながら電気を付けていく。 僕のただならぬ雰囲気に気づいたようで、彼女も戸惑っていた。
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