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カーテンを開けると、雨が降っていた。
「雨か…。」
気持ちが重くなった。紫陽花が外で雨に打たれ、項垂れているようにみえる。
でも、気持ちの重さの原因は、雨だけじゃない。
きっといる。今日はいるだろう。
スカートの下にジャージを着た。
ダサい。
でも、楽なのだ。この方が動きやすい。
髪は…雨の湿気でボサボサ。もう、知らない。きっと、何をしてもハネてしまって無駄だと思う。
家を出た。傘をさして、高校に向かう。
学校行きのバス停までは、家を出て小道を抜けなければならない。
その小道に、小さな空き地がある。本当に小さな空き地だ。真ん中にベンチがある。周りは紫陽花で囲まれていて、それらが満開になると美しい場所。
雨の日は、そんな美しい場所に問題が発生する。
「あっ、無視女!」
そうやって手を振るのは金髪の少年。見た目は同い年くらいである。濡れてるはずのベンチに座り、傘をさしている。
ほら、問題発生だ。
私は、それを無視した。
「また無視?!」
彼は大きな声でそう叫んで、私の後をついてくる。
「私、学校行くんです。ごめんなさい。」
私は、それだけ言うと大通りに出る。彼はいつも大通りまではついて来ない。
最初は新手のナンパかと思っていた。
でも、スカートにジャージ、すり減った汚い靴、そしてボサボサ髪。
こんな女子力ゼロの私に、ナンパはあり得ない。
そうすると、彼はなぜ声を掛けてくるのかよく分からなくなった。
彼は、雨の日だけ必ず現れる変な少年なのだ。
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