1.ー不覚

4/7
前へ
/176ページ
次へ
「ふぅ……生き返ったぁ~~」 そこに着くとしゃがんで(のど)を潤す。そことは太陽の光をきらきらと反射させる水面、触れると冷たさを感じさせるーー小川。 ミスティは空に向かい大きく伸びをする。太陽の位置から、恐らく現在朝と言える時刻だろう。町で遭遇したオリンから逃れるため走り火照(ほて)った体を冷まそうと、次の行動に移る。 ーー気持ち良いなぁ。 そう、彼女はブーツを脱ぎ足を水につける足湯ーーではなく、一種の水浴びをした。水の心地よさから自然と(ほお)を緩ませると、近くの茂みからがさっと音がした。 「ーーーー誰」 その音にいち早く反応し、ポケットに忍ばせた折りたたみナイフを手にする。 ーー思い過ごしかな……林の中だし動物かもしれない。 そうミスティが考えを改め始め(しばら)く。気配が強まり、神経をそちらに集中させる。茂みから出てきた者に目を見開く。
/176ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加