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ーーあれ、気のせい……だったのかな。
風が止みミスティが目を擦って再び目を開ける。彼ーーセロの姿を視界に入れる。肩に届くほどの長さの黒髪で白いシャツに、ジーンズとショートブーツを合わせている。
彼と会ったことはないはずなのに、既視感を覚える。その疑念が自然と口に出る。
「あの……、あなたとどこかで、会ったことありますか」
「いや、今日が初めてだと思うが……何故」
「そう……です、か。いえ、何となくそんな気がしただけです」
どうも、腑に落ちない。もう一度セロを視ても良いが、バレては大変だからしない。
ーー悪用……されるわけには、いかない。
ミスティは『シアーズ』としての能力を多用するのを恐れた。
『シアーズ』とは。特殊な物を視ることができる人々の総称だ。この国含め近隣諸国に渡るまで、その人々は実在する。彼らの特徴は、普通の人には見られない独特な瞳の色や色合いが挙げられる。
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