ーー再会

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ーー再会

ミスティがセロにご飯を振る舞ってからというもの。 「よっ、ミスティ」 「セロさん……また、あなたですか」 彼女が買い出しに行く度、彼と会うことが多くなった。 ーー買い物行く道を毎回変えてるのに、何で見つかるかな。 細い路地裏を使ってはいるが、行く店を変えないからか。その店近くで会ってしまう。 神出鬼没な彼を見て、ため息一つ。店に入る彼女に続いて、当然のようについてくる。正直、彼と関わるのは複雑だった。その口調が、仕草が、何よりーー。 「もしかして、ミスティちゃんの良い人かな」 「そーーなったら嬉しいんだけどな」 その、陽だまりのような笑顔が、あの人に似ているからーーつい、(ほだ)されてしまいそうで……。 「ザッカさん、冗談言わないでください。セロさんもっ」 買い物が済んだのでこれで、とそそくさと馴染みのーーザッカの店を出る。 「すまんね。色んなイミで」 出ようとする間際、彼は謝る。その意味が分からず(まゆ)を潜めるも、今度こそ完全にミスティは外に出た。
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