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ーー相も変わらず
「シーーンーーレーーイ~~~~」
「うるさいよ、父さん」
「あ、あなたはーーザッカ……さん」
声の主はシンレイに勢いよく向かっていくが、彼は綺麗に避ける。すると、その人物ーーザッカは勢いそのままに壁にぶつかる。
ーーえ、何でザッカさんがここに……。
絶妙なタイミングの良さと登場の仕方で、ミスティの涙は引っ込む。何度か瞬きを繰り返し落ち着くと、シンレイの発言に引っ掛かりを覚える。
「あの……執事、殿。今、私の聞き間違えでなければ『父さん』と言ったような……」
不思議に思ったことを口に出す。
「ああ、そうだよ。まさか、こんな所から貴女の居場所のヒントをもらえるとはね……」
彼はふーーっと長く息を吐き、眉間に皺を寄せる。
そんなシンレイの様子を見てか、ザッカーーミスティの馴染みの店の店主はおいおい泣き出す。
「息子が冷たいぃ~~っ。店の~~店の~~」
何かを自分たちに伝えたいようだ。
「ザッカさん、何かお困りごとでもあるんですか」
困っている人を放っておけなくて。ミスティはついそんな言葉を掛ける。その言葉を聞くや否やザッカが抱きついてきた。
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